この島のカタクリはやたらに大きな個体が多い。カタクリはユリ科だが、本当にユリのように大きな花を付けるものもある。その秘密が、埋もれるように咲かねばならぬこの島の特殊性にあるのではないか。つまり、小さな個体は淘汰され、大きな個体だけが、代々、受け継がれ選別されてきた、と。私にはそんな気がしてならない。大きくて気品あるこの島のカタクリの秘密が、そのような厳しい自然条件にあったとしたら、私は北國の厳しい自然条件にも感謝せねばならない、と思う。