U 国内の先進事例
2.湯布院町のバリアフリー観光
(1)由布院観光総合事務所の設置
湯布院町には約100軒の旅館がある。その100軒がすべて段差を無くし、手話通訳を常時雇用することは難しい。そこで、由布院観光総合事務所が障害の種類や程度に応じて宿を紹介する方法をとっている。段差のない宿を希望する人、視覚障害者が安心して泊まれる宿、手話が通じる旅館など、または、食事制限のある人等、障害や不自由のある人に選択肢を提供する役割を担っている。
平成11年8月に同事務所が地区の宿泊施設145軒(回答93軒)を対象に実施したバリアフリーに関するアンケートによると、86%の施設が既に障害のある客を受け入れた経験がある。しかし、今後の受け入れについては態勢の不備を理由に受け入れ困難としている施設が61%もあった。受け入れ困難の理由として最も多かったのは、「障害の種類や程度が事前にわかりにくい」、次いで「経営的な問題から設備投資ができない」と「建物の構造が受け入れに適さない」であった。
障害者を受け入れるに当たり、完全対応の部屋を持つ施設は5%、大浴場、家族風呂のある施設は6%、車椅子用のトイレを完備している施設は8%、盲導犬を受け入れる施設は20%、光や文字による非常警報設備を設置している施設は1%と、全体的にみれば、バリアフリーが進んでいる状況とは言い難い数字である。しかし、同事務所が利用者にあらかじめ状況を説明し、受け入れ施設側に適切なアドバイスをすることで、整備が十分でない施設でも、利用者は満足して帰ることができる。施設側でも、この取り組みには協力的である。
由布院観光総合事務所
障害の種類や程度に応じ、選択肢提示 (宿を紹介) |
「あらかじめ対応」主義 |
各旅館に役割分担的受け入れ態勢
個々の旅館対応のばらつき克服 |
22