ねぶた4
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 ねぶたが終われば秋風が吹くといわれるが、それは青森に住む人々の実感である。暑い夏はねぶたと共に過ぎ去ってしまうのだ。耳の底に響いている祭囃子と共に、夏は、「 記憶 」になってしまうのだ。短い夏、それはねぶたが終わった瞬間に誰もが不安な心持と共に口にする言葉なのである。

 8月7日はねぶた祭の最終日。ねぶたの運行は真昼に行われ、夜はねぶたの海上運行と花火大会である。午後4時ごろから、選ばれたねぶた4−5台が岸壁から台船に載せられる。海に浮かんだねぶたは、やがて、祭囃子に合わせたかのように波の上を進んでいく。ドーンコ、ドンコ、ドン、と波を乗り越えて進むのだ。

 やがて辺りが薄暗くなる頃、ねぶたの真上に花火が盛大に上がり始める。海に浮かんだねぶたから岸辺を見ると、十数万人という見物客が岸壁を埋め尽くしている。皆、海に輝くぶねぶたと、海上の花火に我を忘れて酔い痴れるのだ。これがねぶた祭のフィナーレ、海上運行。それは嘆きを孕んだ、北国青森の、今年最後の夏の夜なのである。