U 国内の先進事例

3.高山市のバリアフリー観光

(1)急速なハード整備と「観光福祉都市宣言」

 年間300万人の観光客を迎えている岐阜県高山市は、平成13年に「観光福祉都市宣言」をしている。道路の段差解消や車椅子用のトイレ設置の予算を盛り込み、バリアフリーの街づくりに行政と市民が一体となって取り組んでいる。

 「観光福祉都市宣言」に先立ち、これにつながる取り組みとして、平成8年から障害を持つ人々に高山へのモニター旅行を実施し、アンケートで指摘された問題点をもとに、道路の段差の解消、歩行者ゾーンのカラーリングなど改善していった。その端的な例として、駅前の土産物屋が軒を連ねる通りでは、道路とフロアの段差がまったくない。また、水路の多い市内道路が車椅子の通行に支障となることのないように、金属性暗渠蓋(グレイチング)を格子の目の細かいものにしている。

 さらに市内120カ所に車椅子用(多目的)のトイレを設置した。これは市民100人につき1.8カ所という全国で最も密度の濃いトイレ設置数である。市観光協会ではその一覧表を市民や観光客に無料で配っている。

 駅前観光案内所に設置された情報端末は車椅子に乗ったまま操作でき、音声でもガイドする。車椅子利用者には「車椅子お出かけマップ」を発行している。

 

平成8年〜、障害者のモニター旅行を実施

指摘事項を翌年改善のペース

  
平成13年「観光福祉都市宣言」

「すべての人を旅へ」

  
観光マップ「車椅子おでかけマップ」

市営駐車場の料金免除

観光事業者に「おもてなし365日」(サービスマニュアル)

  
官(市)主導、民の自発性に?

 

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