U 国内の先進事例
「車椅子おでかけマップ」は、観光施設、宿泊施設、土産物店などにも配置されている。また、観光地「飛騨の里」には車椅子用の見学コースがあり、車椅子の他、電動車椅子も借りられるようになっている。これらは市民も利用できる。
高齢者や障害者が低料金で利用できる福祉バス「のらマイカー」が市内を循環しており、一般市民のほか観光客にも利用されている。アクセス面での改善としてはこのほか、障害者手帳を提示することにより、市営駐車場の料金を免除としている。また、観光事業者を対象にした「おもてなし365日」を発行し、高齢者や障害者を受け入れる際のサービスマニュアルを徹底した。
(2)市の強いリーダーシップと民間対応
高山市の取り組みの大きな特徴は、市の積極的な姿勢と、特にハード整備におけるその効果である。現状を把握するため大人数のモニターの一挙受け入れに踏み切ったこと、またその指摘事項の多くについて直ちに改善に着手したことは、行政の取り組みの可能性を教えている。
実際、翌年再び訪れたモニターの障害者はその改善のスピードに驚いた。これは、高山市のリーダーシップの大きさを示している。逆に、(本県を含め)多くの自治体において公共施設等のハードの本格的なバリアフリー化が進まないのは、行政の意志決定に大きな問題があることも分かる。
同時に、観光業はじめ民間・市民のソフト対応との落差が今後の問題になる。官民の協力で積極的な受け入れが進んでいるが、一方で障害者イベントへの対応においても、観光業経営、従業員の対応には不十分な点が少なくなかった。
バリアフリー観光対応の改善は、まず実際の受け入れと当事者によるチェックからであり、市の実施したモニターの効果は大きい。しかしそれは、行政(市)を介した地域外(首都圏の障害者施設)との協力がベースであり、民間が自ら、地域の障害者と「協働」でソフト改善に取り組むという自己改革運動の部分が少ないことが、こうしたアンバランスを呼んでいる。
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