U 国内の先進事例

(2)クレームを公開

 別府市の各施設では障害者を受け入れたときのクレームを同業者に公開している。何に対して、なぜクレームがついたか、何が足りなかったかを業界全体で共有することから進歩が生まれる。その結果、別府全体が向上すると考えている。現にクレームを克服して長期滞在客を増やしたホテルがある。

 

(問題点の)業界全体での共有を追求

障害者受け入れのクレームを同業者に公開

  

クレーム克服、長期滞在客が増加の事例

 

(3)ニーズから生まれるバリアフリー

 温泉に安らぎを求めにくる客のなかには、乳房を切除した乳ガン患者もいる。そういう人達が気兼ねなく入浴できるよう検討を始めた。

 『別府市旅館ホテル組合連合会は、乳がん患者の会や病院関係者らの要望を受け、乳がん患者が気兼ねなく温泉や旅館、ホテルを利用できる「ほっとマンマの日」設立の準備を進めている。大分県内の乳がん患者の会が要望するのは、乳がん患者や元患者が旅館・ホテルの浴場を貸し切りにできる日時を「ほっとマンマの日」として決めてもらうこと。連合会は提案を受け、協力する方向で検討。患者の会と具体的な運営方法を話し合う。

 マンマとはラテン語で「乳房」の意味。乳がんは身体的苦痛だけでなく、精神的な痛みも伴うといい、「いままで温泉を楽しんでいた人が、温泉に入れない、入っても周りの目を気にしながらくつろぐことができなくなる」(患者の会)。

 連合会に寄せられた趣意書の中では患者の入浴だけでなく、旅館関係者や男性を含む一般人に乳がんへの理解を深めてほしいと訴えている。

 患者の会をサポートする大分県厚生連鶴見病院では、@時間を決めて大浴場を貸し切りに、A乳がん患者への理解と対応できる旅館・ホテルの登録制度、B登録施設による患者専用プランの企画、C登録旅館の従業員教育—などを提案している。』(週刊観光経済新聞)

20

次へ